CKDという言葉をご存知でしょうか?
CKDとは慢性腎臓病(chronic kindney disease)を意味する言葉です。
腎臓というと、他の臓器に比べてあまり意識することも少ないと思いますが、なんと日本では成人の8人に1人に腎臓病の疑いがあるとされています。
- 最近おしっこが泡立っていたり、色がおかしい
- 身体が浮腫む気がする
- だるい
- 食欲がない
- よく貧血を起こす
- 息切れがする
こんな症状がある方は、進行した慢性腎臓病(CKD)の可能性が高いです。慢性腎臓病について正しく理解し、早め早めの手を打っていきましょう。
※実際の治療法や食事で気を付けたいポイントなどはこちらの記事でまとめていますので参照してください。
⇒慢性腎臓病(CKD)の原因となる疾患と治療法、食事のポイント
目次
慢性腎臓病(CKD)とは?
慢性腎臓病(CKD)とは、実は一つの病気のことを表す言葉ではありません。様々な要因で腎臓に関する数値が一定基準以下になった場合、その状態を指して慢性腎臓病と診断されます。
その判断基準は以下の通りです。
- 尿検査で尿たんぱくなどが異常
- 血液検査で糸球体ろ過値(GFR)が60ml/分/1.73㎡未満
上記のどちらか、または両方が3か月以上続いた場合に慢性腎臓病(CKD)と判断されます。
この二つの基準を組み合わせたものが慢性腎臓病の重症度分類(ステージ表)と言われているものです。
慢性腎臓病(CKD)のステージ表の見方
上で触れたように、慢性腎臓病(CKD)の重症度を測る際は、
の二つを組み合わせて判断します。そして、この二つの基準を組み合わせたのが以下の表です。
慢性腎臓病の重症度は、上のA1~A3とG1~G5を組み合わせて、A2G4といった感じで表します。
尿たんぱく区分に関しては尿検査を、糸球体ろ過値区分に関しては血液検査を行うことで正確な数値を知ることが可能になります。
慢性腎臓病(CKD)になったら現れる症状
ここからは、慢性腎臓病の各ステージでどのような症状が見られるのか、具体的な症状について触れていきたいと思います。
ステージG1・G2
ステージG1・G2の方は、糸球体ろ過値(GFR)に関しては60以上の数値であるため、腎機能自体は正常です。しかし、A2・A3に該当する方は尿たんぱくの数値が基準を超えているため、慢性腎臓病(CKD)と診断されます。
この段階は、自覚できる症状がほとんどないのが特徴です。逆に言うと、慢性腎臓病の初期段階は自覚症状がないため、定期的な健康診断による数値の管理が重要ということです。
腎機能が正常でも尿たんぱく値に異常が見られる場合は、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった疾患が原因となっている場合が多いため、これらの疾患がある方の場合はその治療を行い、合わせて禁煙や食事の見直しといった生活習慣の改善を取り入れる形で対処します。
こうすることで、慢性腎臓病の進行をかなり予防することが可能です。
ステージG3a・G3b
統計上、慢性腎臓病の患者が最も多いのがこのステージG3a・G3bです。この状態になると、
- むくみ
- 貧血
- 高血圧
といった症状が見られることがあります。(全ての方に見られるわけではありません)
G3bまで症状が進んでいる場合は、生活習慣の改善や合併症(糖尿病や高血圧など)の治療に加えて、専門医による投薬治療が行われます。
ステージG4・G5
慢性腎臓病がステージG4・G5まで進むと、ステージG3a・G3bに加えて以下の様な症状が出やすくなります。(ただし、やはりこの状態なっても自覚症状が見られない方もいらっしゃいます)
- 倦怠感・疲労感
- 吐き気
- 息切れ
- 食欲低下
この状態までくると、投薬治療や生活習慣の改善に加え、透析療法や腎移植といった方法を検討する必要も出てきます。
慢性腎臓病が進行するとどうなるの?
ここまで、慢性腎臓病の各ステージごとの症状を見てきましたが、慢性腎臓病が進行するとどうなってしまうのかという点についても触れておきたいと思います。慢性腎臓病が進行することで高まるリスクは、大きく分けると以下の2点です。
腎臓機能の低下が進行して、透析が必要となる
そもそも腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分などを体外に排出するという役割を担っています。この機能が低下すると、本来体外に排出すべき不要なものが体内に残ってしまうことになります。
ある程度の状態までであれば、投薬治療や食事療法で機能の低下した腎臓をフォローすることは可能ですが、ステージがG5まで進んでしまうとフォローしきれなくなってしまいます。
そうなると、もはや腎臓自体の働きに期待することができなくなり、透析療法や腎移植といった方法が必要になってしまいます。
心血管疾患のリスクが高まる
また、慢性腎臓病を放置すると、心血管疾患のリスクが高まると言われています。心血管疾患とは、心筋梗塞や心不全、脳卒中といった血管系の、生死にかかわる疾患です。
慢性腎臓病と、心血管疾患を引き起こしやすい動脈硬化は同じような原因で起こりやすいです。(高血圧・糖尿病・メタボなど)
また、動脈硬化が起こると慢性腎臓病が進行しやすく、慢性腎臓病の状態が続くと動脈硬化が起こりやすいという関係性も存在します。どちらのリスクも下げるためには、早期からの対策が必要となります。
必ずしも自覚症状が現れないため、定期的な健康診断が必須
慢性腎臓病の特徴は自覚症状を感じにくい点にあります。
ステージG1・G2といった初期段階はもちろん、かなりステージが進んだ状態になっても人によっては症状を感じません。また、仮に感じたとしても腎臓との関係を思い浮かべる方は少ないかと思います。
ですので、定期的に健康診断・人間ドックを受診して尿検査や血液検査の結果をしっかりと認識しておく必要があります。
特に、自営業で健康診断をしばらく受けていないという方や会社の健康診断で血液検査検が行われていない方などは要注意です。また、仮に健康診断で血液検査を行っていても腎機能に関するチェックは行われていない場合もあります。
そういった場合は、腎機能のチェック付きの血液検査を含む健康診断や人間ドックを受けるようにしましょう。
まとめ
成人の8人に1人が該当すると言われる慢性腎臓病(CKD)は、新しい国民病と言っても良いかもしれません。
それでいて自覚症状がないため、気づいたら重症化していたということも大いにあり得ます。早期に発見して手を打つためにも、定期的な尿検査と血液検査は欠かさないようにしましょう。
腎臓に不安がある方の食事のポイントや治療の進め方についてはこちらの記事で触れています。