世界各国の首脳や大手企業などがタックス・ヘイブンを利用していることを告発したとして話題になったパナマ文書。
日本国内の企業や日本人も掲載されていることが分かってきましたが、なかなかTVなどでは報道されません。どんな企業や個人がリストに載っているのかを調べたので、記録しておこうと思います。
もっとも、タックスヘイブンって言われても、馴染みのない人にはいったいどんなものかよく分かりませんよね?今回はその仕組みや問題点についてもまとめてみました。
目次
パナマ文書に記載されている日本人・日本企業
世間を騒がせたパナマ文書とは、ある法律事務所から流出した機密文書です。パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」がハッキングを受け、流出。
この法律事務所は租税回避地での法人設立を請け負っていたことから、調査したところ、世界の首脳や富裕層・大企業などでタックスヘイブン、いわゆる租税回避が行われていることが発覚しました。
パナマ文書に掲載のリストは約1150万通(2.6TB)にものぼることが判明し、2016年6月現在、いまだ全貌は明らかになっていません。
リストには、以下のような日本人・日本企業も掲載されていました。
・日本企業
大日本印刷
大和証券
ドリームインキュベータ
ドワンゴ
ファストリテーリング
ジャフコ
JAL
石油資源開発
丸紅
三菱商事
電通
商船三井
日本製紙
オリックス
大宗建設
ジー・モード
千代田リース
山一ファイナンス
伊藤忠
ソフトバンク(グループ企業)・日本人
飯田亮(セコム創業者)
戸田寿一両(セコム創業者)
上島豪太(UCCホールディングス社長)
三木谷浩史(楽天会長)など
(引用元:http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016051102000142.html)
なお、掲載の企業や個人はすべてが租税回避のために同地に企業を設立したわけではないということです。
また、世界ではリストの調査がすすみ、かなりいろいろな企業名が公開されているにもかかわらず日本ではあまり取り沙汰されないのは、報道機関関係の会社がリストに含まれていることから、報道することで自分たちの首が絞まるため、日本のメディアが取り上げないようにしているという背景があります。
政府も、「調査はしない」という方針を取っているため、海外ほど調査が進んでいないのも実態です。
タックスヘイブンとは?どんな仕組みで租税回避するの?
さて、ここで問題になっているタックスヘイブンとは、そもそもどのようなものなのでしょうか?ここからは、タックスヘイブンの仕組みについて見ていきたいと思います。
タックス・ヘイブンは、「租税回避地」と訳されます。
莫大な資産を持つ企業や個人は通常、所属している国から課せられている高い税金を収めなくてはいけません。租税回避とは、これらの税金を収めなくて良いように巧妙に納税を逃れることを指します。
タックスヘイブンで租税回避をする仕組み
具体的には以下のような方法で行われます。
税金がない、あるいは極めて安い地域(多くは小さな島国)に活動実態のないペーパーカンパニーや口座を設立し、本国の企業からその会社・口座に資産を送ります。
すると、租税回避地にある資産には税金がかからないので、資産が目減りしないということになります。
そして、本国の企業からは資産が減っていますから、減った資産に応じた税金が請求されるため、本来なら掛けられるはずであった税金を逃れることが出来るという仕組みです。
今回、パナマ文書が流出した法律事務所「モサック・フォンセカ」は、このペーパーカンパニーの設立に関わっていたと言われています。
タックスヘイブンはなぜ問題に?合法?違法?
パナマ文書が流出した際、非常に大きなニュースとなりました。タックスヘイブンはなぜ問題になったのでしょうか?
それは、上記で説明した通りタックスヘイブンが「仕組み上は脱税に近い行為である」からでしょう。
税金のない、あるいは安い地域に資産が流れることで、その国が本来得られるはずであった税金が得られないこととなり、国家予算に影響が出てしまいます。
徴収できるはずの税金が得られないということは、結果的に私たちの公共サービスを低下させる可能性を秘めていることから、道義的に批判が集まっているわけです。
しかし、タックスヘイブンは単なる資産の移動や投資であることから、違法であるとまでは問えないのが実情です。不適切ではあるが違法ではないという、どこかで聞いたフレーズが当てはまる事象ですね。
タックスヘイブンを否定することで赤字に転落する企業もあるといわれていて、一部ではタックスヘイブンがなくなると、グローバル経済はもはや成り立たないとも言われています。
一口に、合法・違法と言い切れない、難しい問題と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
大企業や富裕層の脱税!と一言に言われがちなタックスヘイブンですが、実は法的には違法とは言い切れない、微妙な立ち位置にありました。
パナマ文書の調査状況など、今後の動向が気になりますね。