パナマ文書の流出によって目にするようになった、ペーパーカンパニーという単語。
なんとなく「活動実態のない企業」ということはわかっても、実際どのようなものなのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか?
ペーパーカンパニーの実態と節税におけるメリット・違法性についてまとめてみました。
目次
ペーパーカンパニーとは?
そもそも、ペーパーカンパニーとはいったいどのような存在なのでしょうか?
直訳すると「紙の会社」です。
日本語では、ペーパーカンパニーといった場合、「紙の上(書類上)には存在するけれど、実際に企業としては活動していない会社」という意味を持ちます。
普通、会社を設立する場合には、事業所の位置を登記する必要があるのですが、この登記だけを行い、実際には企業活動を行っていないもののうち、以下のような目的のものをペーパーカンパニーと呼んでいます。
- 悪徳行為隠しなどのダミー会社
- 粉飾決算や脱税に使われる、オフィスを持たない会社
- タックス・ヘイブン(租税回避地)に置かれている金融取引のための会社など、資産保有・取引のために設立される会社
なお海外では、ペーパーカンパニーと言うと文字通り「製紙会社」を指すので「dummy company」などと呼ばれています。
ペーパーカンパニーを設立すると節税のメリットがある?
ペーパーカンパニーと言われて、多くの人が想像するのが「節税にメリットがある」という噂ですよね。
ペーパーカンパニーを設立することで、本当に節税にメリットが有るのでしょうか?
答えは「マル」です。
例えば、本国(日本)の法人で上がった利益を、何らかのスキームでタックスヘイブンに設立したペーパーカンパニーに移します。この場合のスキームとは、タックスヘイブン先のペーパーカンパニーの事業を「投資事業」として、そこに日本法人が「出資」するという形式です。
こうすることで、本来は日本の税率で税金がかかるべき年間所得を減らすことが可能となり、結果的に「節税」が成功するという運びになります。
投資事業への出資という点がポイントで、これが単なるグループ企業間の取引の場合は、移転価格税制という制度に該当するため節税効果は望めません。
パナマ文書に載っている日本企業は、このようなスキームを用いて日本国内で得られた利益をタックスヘイブンにあるペーパーカンパニーに出資し、大きな節税効果を産んでいるようです。
しかし一方で、活動実態のない企業を用いてこれらの行為を行うことは脱税であるという指摘もあり、年々対応は厳しくなってきています。
ペーパーカンパニーの違法性について
ペーパーカンパニーは、果たして違法性のある存在なのでしょうか?
前述の、現地法人を作ってそこに出資をするという形式であれば、法律が変わらない限り違法性を問うことは難しいでしょう。
しかし、悪徳業者の隠れ蓑として使われている場合や、脱税のために設立されるケースも少なくないため、違法性のあるものとして取り締まるべきという論調になりつつあります。
現状としては、「道義上不適切ではあるが違法ではない」というフレーズが一番しっくりくる表現なのではないかと思います。
儲かっている会社が法人税をきちんと納めていないわけですから、市民感情としては認めたくない…というのが多くの意見ですね。
まとめ
言葉だけが先行し、いまいち実態がつかめないペーパーカンパニーですが、じつは何が何でも違法というわけではありません。
ですが、この制度がこれから先もずっと続くとは限りません。パナマ文書のニュースと合わせて、今後の動向が注目されますね。