札幌YOSAKOIソーラン祭りに批判の声?歴史や高知のよさこいとの違い

初夏の札幌・大通公園を彩るイベント「札幌YOSAKOIソーラン祭り」。

初夏の札幌・大通公園を彩るイベント「札幌YOSAKOIソーラン祭り」。
賛否両論あるお祭りですが、それはなぜなのでしょうか?

札幌YOSAKOI祭りの歴史や、高知のよさこいとの違いについてもみていきましょう。

目次

札幌YOSAKOIソーラン祭りに地元民から批判の声?

今や、札幌YOSAKOIソーラン祭りは初夏の札幌の代表的な観光イベントになっています。

ですが、その存在には批判の声も数多くあります。2007年に北海道新聞が行った調査では、敬遠している人が50%を超え、中でも20~40代を中心とした若い人に評判が悪い結果となっていました。

 

こういった批判が相次ぐ背景には、

  • 騒音・参加者のマナーの悪さ
  • 賞の不公平感・商業主義化

 

があります。それぞれについて、掘り下げていきましょう。

 

騒音・参加者のマナーの悪さ

まず、踊りに併せて曲をかける地方車の音量はかなり大きいです。一応、運営委員会から規定の音量が指定されていて、それを超えると失格となるのですが、周りのチームに負けじと音量を上げるチームが後を絶たず、近隣の住民だけでなく、その時期に大通公園を利用する市民の迷惑になっているという背景があります。

 

札幌YOSAKOIソーラン祭りの参加者は基本的に地下鉄などの公共交通機関を利用していくつかある会場を移動するのですが、その際のマナーがとても悪いんです。

大人数・大荷物で乗ってきて場所を占拠したり、ひどい所になると車内で踊りだしたり(!?)する参加者も。これが市民の日常生活に悪影響であることから、札幌YOSAKOIソーラン祭り自体が嫌いだという人が多くなってしまっているのです。

いわば「こっちはお祭りだから優先してくれるよね?」という無茶がまかり通ってしまっている現状なのです。普通に仕事や学校で公共交通機関を使う側からしたら勘弁してくれというのが実情です。

同じようなことは花火大会の時期などにも起こってはいますが、札幌YOSAKOIソーラン祭りでは道外からの参加チームがやってくることから、人数的な意味でも規模が地元のイベント程度とは全然違います。

 

賞の不公平感・商業主義化

また、札幌YOSAKOIソーラン祭りの踊り自体はにぎやかだし嫌いじゃないんだけど…という人にすらこのお祭りが敬遠される理由があります。

それが、賞の不公平感・商業主義化です。

札幌YOSAKOIソーラン祭りのファイナルで賞を得ることができるのは、衣装・曲・練習・地方車…その他諸々、数百万単位のお金をかけることができる大手チームにほぼ限られています。

そのほうが、お客さんや審査員の評判がいいからというのが理由なのですが、札幌YOSAKOIソーラン祭りはもともと学生の主導で始まった「みんなで作るお祭り」という意味合いが大きいお祭りだったので、こうした傾向は「結局金でしょ」と捉えられてしまう側面があります。

最近ではコンテストに偏らないよう、参加型の催しも行われていますが、やはりイベントの目玉はコンテストですから、仕方のない部分はあるかもしれません。

 

スポンサー企業などがついたことにより商業主義化した結果、「踊りは好きだけどなんかコンテストが不公平だし好きじゃないな…」という層を生み出してしまったとも言えます。

実行委員会のスタッフも、もともと学生が始めたイベントであることから学生を中心に集められることが多いのですが、これだけ商業化しているのにスタッフを学生にこだわり続けているところにも、安全面やサービスの観点から適切なのかどうか疑問が残ります。

 

いち札幌市民の本音としては…

私もいち札幌市民として暮らしていますが、この時期になると大通にはあまり近づかなくなりますね…
見物人などで道が満足に通れなくなり、買い物に行くにもちょっと不便な感じです。

騒音は「ああ、やってるなー」と風物詩程度に感じていますが、これが近隣の住民だったらまつり期間中ずっとですから、いくら大通公園という環境を理解して住んでいる人であっても堪ったものではないでしょう。

家族がお祭りに関わっているというならともかく、そうでない一般市民にとっては「テレビで見るには楽しいけど…」程度の認識なことが多いかもしれません。

 

そうそう、札幌YOSAKOIソーラン祭りの開催地だけあって札幌市内の大学にはYOSAKOIソーランのサークルがあることが多いです。(高校とかでもある場所もあるかな?)

運動会を6月にしないように!運動会を休んででもYOSAKOIに出る!とかいう話もあるらしく、札幌YOSAKOIソーラン祭りに対する温度差は、参加している人とそうではない観覧者でかなり差があるようです。

 

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札幌YOSAKOIソーラン祭りの歴史

さて、そんな賛否両論ある札幌YOSAKOIソーラン祭りですが、その歴史はどのようなものなのでしょうか?

始まりは、北海道大学の学生だった長谷川岳氏(現在参議院議員)が、がんになってしまった母親が入院している病院に看病に行った際、高知県のよさこい祭りを見て「これを北海道でも見れるようにしたい!」と思い、仲間たちと道内大学を中心に第一回を開催したことに由来しています。

ネーミングは高知県の「よさこい」と北海道の「ソーラン節」を融合したもの。

当初は10個1000人しかなかったチームも、回を追うごとに増え、24回目となる2015年には270個27000人となっています。ただ、第15回のころは参加者45000人とさらに多かったので、近年では祭り自体の低迷化が指摘されています。

 

2000年には、大通会場で爆発事件が起こり、実行委員会の学生スタッフが重体となる怪我を追うといった事も起きており、その後は札幌YOSAKOIソーラン祭りだけでなく大通公園で行われるイベントすべての警備強化が図られるようになりました。

お祭りが大きくなるにつれて発起人であった長谷川岳氏とはロゴの使用権などを巡って対立が起こるなど、現在ではほぼ袂を分かった状態であり、こういったところも「原点に立ち返るべき」といった批判が起こる理由となっている可能性はあるでしょう。

 

高知のよさこいとの違いは?

札幌YOSAKOIソーラン祭りの原形は高知のよさこい祭りにあると言われていますが、どういったところが違うのでしょうか?

まず、高知のよさこい祭りは商工会議所が主催で「徳島の阿波おどりに対抗しよう」と生まれたものです。学生主導で生まれた札幌YOSAKOIソーラン祭りとは成り立ちからして違うわけですね。

とはいえ、鳴子を持って踊るという形式はこちら高知でも同じ
YOSAKOIソーラン祭りは高知の「よさこい祭り」から生まれたのですから、当然といえば当然です。
札幌YOSAKOIソーラン祭りをはじめとする「YOSAKOI」が全国に浸透するに従って、本場よさこい祭りも徐々に影響を受けて変化してきているようです。

「YOSAKOI」は創作ダンスのコンテスト、踊りメインのお祭りという色合いが濃いのですが、その源流にあたるのが「よさこい祭り」ということなのですね。

よさこい祭りから広がった「YOSAKOI」は、現在北海道から南は九州まで、全国各地で行われるイベントとなりました。

 

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

札幌市民の間でも賛否両論が分かれている札幌YOSAKOIソーラン祭りですが、その背景にはさまざまな市民生活への影響や商業主義化といった理由があります。

市民も観光客も参加者も、皆が楽しめるイベントに脱皮できるか、今後が注目されますね。